アラフォー・アラフィフ世代が借り入れる時の注意点

老後に持ち越す借金はやめよう

アラフォー・アラフィフ世代の借金で注意すべきなのは、借金額でしょう。当たり前に聞こえますが、この世代は良くも悪くもお金に余裕ができます。月収30~40万円であることも珍しくありませんが、驚くことにそれだけの月収がありながら借金を抱えている人も少なくありません。つまり、月収がそれなりにあるために、利息の支払いができてしまいます。

毎月元金と利息の返済がかなりの額に上ろうとも、貯金に回すお金がなくとも、毎月の支払いさえ滞らないために借金を放置するケースがあるのです。最近では、クレジットカードのリボルビング払いなどより便利な“借金”が増えています。それで、ついついリボ払いやキャッシングが便利で利用を続けていると、月々の支払いはオンラインで調整できるものの、支払わなければならない総額は膨大な額になっていた、ということもあります。

毎月の支払いがきちんとできるからこその罠

一つだけ実例をご紹介しましょう。東京在住の会社員の女性は、45歳独身で輸入業者で総務に就いています。手取りは30万円ほどですが、貯蓄はゼロ、毎月生活費と交遊費、そして借金の返済でなくなってしまいます。明細を確認せず、支払いが出来ているので「収支がちょうどぴったりなんだろう」と思っていたそうです。しかし、アラフィフと呼ばれる年代に入ったことで、自分の生活を見直して老後に備えようと思い、ファイナンシャルプランナーに相談します。明細をすべて確認したところ、何と30万の給料のうち15万は借金の返済に充てられていました。

それだけの金額を返済に充てていながら、元金はカードローンが250万、キャッシングが70万にもなっており、本人も驚いたそうです。プランナーのサポートを受けて、クレジットカードの抑制から日々の節約、電子マネーのオートチャージや追加の借り入れをやめ、現在は繰り上げ返済も活用しながら全額返済に力を注いでいます。

この経験の問題点は、毎月の返済が出来てしまっていたために借金の総額を気にしていなかったことでしょう。ある程度収入があっても、借金が気付かぬうちに増えてしまっていたのです。カードローンやキャッシングは、支払いを続けやすいように毎月定額の返済プランが立てられます。しかし、支払いを長く続けるということはそれだけ利息を払うということであり、元金までしっかり返済しなければ永遠に借金が減りません。

収入が安定しているうちは問題ないかもしれませんが、老後が見えてくるアラフォーやアラフィフ世代の人にとって、老後のための資産形成が非常に難しくなります。特に、アラフォー世代はまだ少しだけ若さや未熟さが許される世代です。40代後半や50代の先輩たちに比べると若手であり、実際体力や精神的エネルギーの面で余力もあります。若さが残っていながら資力には余裕が出来てしまうと、よほど老後の明確な目標がない限り、お金を使ってしまいがちです。しかし、老後に向けての時間は20代のことよりも確実に少なく、上記の女性の例でも分かるように「気付けば借金が定年前に返せるかどうか分からない額になっている」こともあるでしょう。

目的のあるローン以外は40代のうちに完済を

結婚やマイホームなど、人生の分岐点をいくつも迎えるアラフォーでは、お金のより慎重な運用がいつにもまして求められます。総務省が発表する「家計調査報告書(貯蓄・負債編)」では、40代は借金世代と分かります。2人以上の世帯の負債額平均は500万円を超えており、中央値は1,000万円を超えています。負債の内容は9割が「住宅・土地」のためのものと発表されているので、借金を抱えている人はほとんどが住宅ローンを組んでいると見られます。

そういった健全で目的のある借金であればいいのですが、体験談の女性のように目的もなくお金を浪費してしまう人も一定数います。毎月の返済を順調に行うのは重要なことですが、その内容や元金の残高に今一度目を向けてみましょう。老後までまだ時間のある今のうちに、借金を整理するのが賢明であることに気づくかもしれません。